こぎん刺しと菱刺し


青森市で毎年夏に行われるクラフト市があります。

そこに「つづれや」が出店していたときの事。

20代位の津軽なまりの女性が、菱刺しを見ながら、一緒に居たもう一人の女性へ

「これ、こぎんだよね」

 と話しかけていました。

 

別のクラフト市では、こぎんを習い、刺しているという年配女性に

「こぎんと菱刺しとどう違うの?」

と尋ねられました。

 

また、八戸で菱刺しのくるみボタンを付けていたら

手芸好きの方に「こぎん?」

と尋ねられました。

 

こぎんと菱刺しとは、それ程共通点の多いものなのでしょう。

地元の人でも、ただ津軽でやればこぎん、南部なら菱刺し、と刺し手の住む地域以上に違いは無いかのように思っている方もいるのではないでしょうか?

 

こぎんの古作には、三縞こぎん、東こぎん、西こぎんの区別があります。

刺されていた地域による区別であり、また地域による模様の構成のされ方の違いとして分類されます。

この違いは、古作をよく見る機会があれば、誰にでも分かるものではあると思います。

しかし現在、刺し子に民俗学的関心をもっている方にとっては興味深くとも、こぎんに対して、ただ手芸として関心を持っている方にはこういう分類は、あまり大きな興味を引かないのではないでしょうか。

模様の構成という事であれば、現在の刺し手は何ら地域的な伝統や制約を受ける事なく自身の発想に従って

自由にアレンジできるはずだからです。

こぎん作家を名乗る方は沢山いますが、東こぎん作家や三縞こぎん作家を名乗る人を寡聞にして聞かないのはそのせいではないでしょうか。

 

それに対して、菱刺しは明らかにこぎんとは何か違うもののように思われます。 

以下、こぎんとの共通点をふまえながら、相違について述べてみたいと思います。